風力発電の仕組みと歴史
風力発電の主要構成
風力発電機は、ブレード・ハブ・ナセル・タワーの大型部品から構成されています。
ブレードはハブに取り付けられており、風の力をブレードが受けることでハブが回転し、回転する力に変換させます。回転する力をハブがボルトで締結されているローター軸に伝達させることにより、まずは風の力が機械的運動に変換されたことになります。ハブを取り付けているナセル内のローター軸へ回転する力を伝達させ、増速機で回転する速度を高速回転に変換し、回転軸継ぎ手(カップリング)を介して発電機に高速回転を伝達させます。発電機は高速回転する力を電気に変換し、タワー最上部に取り付けてあるナセルより、タワー内に這わせてある電力ケーブルへ電気を流しタワー下部へ発電した電気を送電します。
増速機を使用した発電方法の他に、ローターの回転する力をローター軸を介さずに、直接発電機へ伝えるダイレクトドライブという風車もあります。
ナセルを風に正対させ風の効率を最適に保つためのヨーシステム、ブレード角度を変化させローターの回転速度を調整するピッチシステム、増速機や発電機を排熱から保護するための冷却システム、ローターの回転を安全に止めるためのブレーキシステム、風速と風向を検知する風向風速計、雷から風車を守るための雷保護システム等がナセルには搭載され、風力発電機を安全かつ効率よく発電運転することを可能にしています。
陸上風力発電のシステムについて
陸上風力発電システムは、風の通りの良い山岳や海上からの風を受けやすい海岸沿いに設置されることが多くあります。
基礎は地盤によって十分に支持され、大型台風や大きな地震にも耐えうる構造となっています。
風力発電機で発電された電力は、埋設送電線または架空送電線で送電会社の系統へ連系する受変電設備に送られ、電力会社を通じて需要家の皆さまへ届けられています。
日本での陸上風力発電は、設置場所までの輸送路や設置場所の制限により1基あたり2,000kW~3,500kW程度の風力発電機が主流となっています。
コスモエコパワーは、日本初の風力発電事業者として1996年山形県に400kW風車2基の商用運転開始し、次々と陸上風力発電事業の普及を進めてまいりました。
洋上風力発電のシステムについて
洋上風力発電システムは、海上に風力発電機を設置し、発電した電力を海底ケーブルで送電会社の系統へ連系する受変電設備に送られ、電力会社を通じて需要家の皆さまへ届けられます。
陸上風力発電と違い海上への設置のため、浮体式風力発電と着床式風力発電があります。
浮体式はその名の通り海に浮かぶ設置方式となり、水深が60m以上ではこちらが検討されることが多いようです。着床式は陸上同様に海底に固定する設置方法となり、水深60m未満ではこちらが選択されているようです。事業にかかる費用を検討する上で、設置方法は重要な検討課題となります。
現在国内では、浮体式風力発電設備は実証実験が終了して商用運転が開始され、着床式風力発電設備も秋田県で商用運転が開始されています。
洋上風力発電は陸上風力発電より大型になり、最近は15,000kWの大型風力発電機が開発されています。
当社は、今まで培った経験を活かし洋上風力発電でも社会インフラへの安定した電力供給に貢献してまいります。
風力発電の歴史
風力発電の歴史は、1880年代からイギリス・アメリカ・デンマークで始まり、日本では1980年代に国内で100kW風力発電機の実証事業が始まりました。
年々大型化し、近年では洋上風力発電にて15,000kWの大型風力発電機が開発されています。
現在の大型風車は水平軸プロペラ型の3枚羽が主流ですが、2枚羽のものもあります。水平軸は他にオランダ型や多翼型があり、オランダ型は、木製の羽で風車を回し揚水する力に変換し、海抜の低い土地を水害から守ることなどが目的となっていました。
多翼型は、その名の通り多くの羽(20枚程度)を持つ風車で、羽が多いため回転数が低いものの高トルクを引き出すことで揚水に適しています。
水平軸の他には垂直型の風車もあり、回転軸が設置面に対して垂直になるタイプになります。回転軸が垂直になることで、360°どの風向からも風を効率よく受風し、大型風車のように風にナセルを正対させるヨーイング機構が必要ありません。
水平軸の種類は、ダリウス型、ジャイロミル型、サボニウス型等があり、小型風力発電で用いられることが多くあります。
風力発電システムは、シンプルで機械部品の少ないストール制御からより発電効率が良く出力制御を可能としたピッチ制御へ進化してきました。
当社が導入する風力発電機も時代に伴い変化しています。
1996年最初の風力発電機はストール制御方式の風車を導入、2000年に初めてピッチ制御方式の風車を導入しました。
更に風力発電機は研究と進化を続け、今までのアップウィンド方式から山岳の多い日本で吹上る風にも強いとされるダウンウィンド方式の風力発電機の導入も進み、当社ではアップウィンド方式のMicon、N・E・G Micon、Dewind、荏原フライデラーウィンドパワー、Vestas、ダウンウィンド方式の日立製作所風力発電機が商業運転中となります。
また、GEリニューアブルエナジーやシーメンスガメサ・リニューアブル・エナジーの最新風力発電機も2023年4月から商業運転を開始しています。
今後もより効率の良い風力発電機の検討と導入を進め、再生可能エネルギーの普及に努めてまいります。