
洋上風力事業への取組み
洋上風力発電について

風力発電はこれまで山間部や海岸沿いといった陸上での開発が中心でしたが、近年、より風況が良くポテンシャルの高い洋上での開発が世界中で行われています。特に、欧米では、風車の基礎を打設等の工法により海底に設置する着床式洋上風力が既に多くのエリアで運転を開始しており、水深の深いエリアでは風車の基礎を海上に浮かべる浮体式洋上風力の開発が進められています。
日本では2020年に、政府が2050年カーボンニュートラル達成を宣言し、2021年に決定された第6次エネルギー基本計画では、再生可能エネルギーの主力電源化が明記されました。2025年には第7次エネルギー基本計画が発表され、再生可能エネルギーを電源構成比で2040年度までに4~5割程度、風力発電を同じく4~8%へ拡大する計画が示されました。
第6次エネルギー基本計画と同様に第7次においても洋上風力は再生可能エネルギーの切り札として位置付けられており、洋上風力発電に対する期待は国内でも引き続き大きいものとなっています。
当社の取組みについて

当社は、日本における風力発電黎明期から、長年にわたり陸上風力発電事業の開発、保守・運営に携わってきました。洋上風力発電事業においても、陸上風力発電事業で培った経験、スキル、ノウハウを数多く活用できると考えています。
国内でまだ実績が少ない洋上風力を推し進めるため、当社の強みである陸上風力の開発、保守・運営の経験をフルに活かしながら、先行する欧州等の知見を応用し、安全かつ安定的な事業実施のための技術検討を行っています。
当社およびコスモエネルギーグループは、洋上風力発電の事業計画段階から、地域や漁業関係者の皆さまとの丁寧な対話を通じて地域社会との共存共栄を図り、地域に根差した洋上風力発電事業を推進していきます。
プロジェクト
運転中
1. 秋田港・能代港洋上風力発電所
当社は秋田洋上風力発電株式会社への出資等により、環境影響評価(環境アセスメント)を始め、社会受容性評価、事業リスク評価等の業務を通じ、秋田港・能代港洋上風力発電事業に参画しています。
本事業は、国内初の大規模な洋上風力発電事業として2023年1月から全面商業運転を開始しており、国内および地域への安定的な電力供給に貢献しています。
秋田港

能代港

- 事業実施エリア
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秋田県秋田港、能代港 港湾区域
- 事業規模
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秋田港:54,600kW
能代港:84,000kW - 環境影響評価
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環境影響評価書
秋田港洋上風力発電事業
能代港洋上風力発電事業 - 事業会社
開発中
1. (仮称)北海道石狩湾沖洋上風力発電事業
- 事業実施エリア
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北海道石狩市及び小樽市沖
- 事業規模
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最大 1,000,000kW
- 環境影響評価
2. (仮称)島牧沖洋上風力発電事業
- 事業実施エリア
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北海道島牧郡島牧村沖
- 事業規模
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最大 1,000,000kW
- 環境影響評価
3. (仮称)檜山沖洋上風力発電事業
- 事業実施エリア
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北海道檜山沖(久遠郡せたな町、二海郡八雲町、檜山郡江差町及び上ノ国町の日本海側沿岸)
- 事業規模
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最大 1,000,000kW
- 環境影響評価
4. (仮称)秋田市沖洋上風力発電事業
- 事業実施エリア
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秋田県秋田市沖
- 事業規模
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最大 525,000kW
- 環境影響評価
その他
1. NEDO浮体式洋上風力発電実証事業
2010年に国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)より、次世代浮体式洋上風力発電システム実証研究のうち以下業務を受託し、実証事業の業務を完了しました。
【環境影響評価(環境アセスメント)】
浮体式洋上風力発電における環境への影響としては、渡り鳥の飛来による風車へのバードストライクが懸念されていましたが、本実証事業での環境影響評価においては洋上風車の稼働中においてもバードストライクは発生しませんでした(写真1)。
また、洋上風車を海上に浮かべるための基礎の周囲に様々な魚種の魚が集まる漁礁蝟集効果があることが確認できました。
野生生物や環境に配慮した事業運営を実現するために、実証事業における環境影響評価のノウハウを今後の事業にも活かしていきます。
【保守管理技術の開発】
洋上風車の安定的かつ効率的な運転のため、故障予知診断システムの研究開発として保守管理システムを導入しました。本システムは火力発電所を中心に用いられているシステムを洋上風力発電向けに開発したもので、機械学習プログラムで学習されたモデルによって、故障予知に関するある一定の閾値を超えると自動的にアラートを発報する仕組みになっています(図1)。
本システムの開発ノウハウをもとに更なる故障予知の改善に取り組み、設備利用率(発電効率)の向上や保守管理費用の低減を目指していきます。


<伊藤忠テクノソリューションズ株式会社HPより抜粋>
https://www.ctc-g.co.jp/solutions/predict_it/
2. 内閣府AUV利用実証事業
内閣府による2024年度のAUV利用実証事業を受託し、AI搭載ROVによる洋上風力発電設備の点検の半自動化の実証試験を実施しました。本試験では、危険を伴う水中の点検作業を人が潜水せずに実施できる仕組みの検討を目的に、浮体式構造物の係留索点検業務の実証を行い、洋上風力発電設備の保守・運営における貴重な知見を得ました。本実証事業で獲得した知見や把握した課題をもとに、今後の実際の事業での活用方法を検討していきます。
3. 浮体式洋上風力技術研究組合
浮体式洋上風力の共通基盤となる各種テーマの共同研究、技術開発を行う浮体式洋上風力技術研究組合(FLOWRA)へ参画しています。当社は本組合への参画に加え、浮体式洋上風力発電の早期導入に向けて長年の風力発電事業で培ってきた知見や経験を生かし、技術開発に取り組んでいきます。
